8月3日 暗いところに逃げ込むのも習性なのだろう

小人蠢人(小人は蠢人(しゅんじん)なり)(「郎潜紀聞」)

今日もためになる話です。

どう考えても虫たちの方が、わたくしどもより目的や生きがいを持っていそうである。

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清・道光己亥年(1839)のこと、黄河の治水の責任者であった見亭・麟慶さまが、みずから黄河の分水地点に出向いて水門の工事を監督していた時のことであるが、部下が一人の老水夫を連れてきた。その老人、

年一百三十二歳。

というのである。

確かに、

蔵有雍正七年初充水手印冊、並嘉慶十二年前河道李長森所賞百歳銀牌。

証拠もあるので面会することにしました。

鶴髪飄蕭、駘背傴僂、而精神強固、状若六七十許人。

名前を訊いてみた。

「史浩然なり」。

どこの生まれですか。

「山東の汶上なり」。

何年生まれですか。

「康煕戌子なり」。

とはっきりいう。康煕戌子は四十七年(1708)である。

問、何修養。

曰、小人蠢人也。餓了喫、困了睡、心不想事。

この「小人」はしもじもの者の一人称です。

なるほど。

遂賞以銭十千、老人尚能手携其五也。

残りの五本は命じられたしもじもが運んだのでございやす。少しは酒代も弾んでいただけたのでございやしょうか。

後不知終於何年。此亦聖代寿民之罕見者。

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清・陳康祺「郎潜紀聞」四筆巻五より。いやあ、これは感動した。久しぶりでいい話を聞きました。人間132歳まで生きられる、長生きの秘訣は腹減ったら食う、眠いときは寝る、これだけだ、我が人生そのままでいいのだ。しかも、「小人は蠢人なり」という定義づけもすばらしい。わたしどももこの定義グループです。毎日化学反応して、光の方に走ったり、酸性の方に走ったりして、生きる。熱水に集まる。電気に痺れる。怒られたらにやにや笑う。こんな感じです。酔生夢死ほどではないが、意外といいかも。

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