或説衫少長(或いは衫少し長しと説く)(「寒山詩」)
「うるさい!」と怒鳴りつけてやってくださいよ。

イヌだと思って怒鳴りつけたらオオカミだったりするとマズい。無茶苦茶マズいぞ。
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我在村中住、衆推無比方。
我、村中に在りて住めば、衆推して比方無しとす。
わしが村の中にいるときは、村の衆は、わしには並び立つような者はいない、と評価してくれた。
しかしながら、
昨日到城下、仍被狗形相。
昨日城下に到れば、仍(よ)りて狗に形相せられたり。
昨日お役所のある町まで来てみたならば、イヌにどういうやつじゃと調べられた。
見知らぬうさんくさいやつ、と吠えられたんでしょう。
イヌだけでは無かったわい。
或嫌袴大窄、或説衫少長。
或いは嫌う袴の大いに窄なるを、或いは説く衫(さん)少しく長しと。
世間のひとびとは、あるいはわしのはかまがたいへん先が細まっているのを嫌がったり、あるいは袖なしの肌着(シャツ)の裾が少し長いと教えてくれる。
わしの本質とは何の関係も無いことを、いろいろ批評してくれる。
攣却鷂子眼、雀児舞堂堂。
鷂子(ようし)が眼を攣却すれば、雀児は舞うこと堂々たり。
ハイタカの目が引き攣って見えないうちに、スズメのやつらがえらそうに舞っておるわい。
もちろん、「鷂子」(猛禽のハイタカ)はわしやわしら賢者のこと。「雀児」(スズメやろう)は俗人のみなさんのことです。
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「寒山集」より。実際には責め立てられて何も言い返せないし、俗世間的にはこちらがスズメのどうしようも無いようなやつなのだが、こんな風に言えたら気持ちいいでしょうね。いないところで、だけでもいいのだが。
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