5月12日 やっぱりこの国が一番いいですよね

甘苦与共(甘苦共にす)(「五雑組」)

「イヤなら出てけ」と言われても、出ていく気はありませんよ、うっしっし。

このひとたちの由来はかなり無国籍だが、日本から出ていきはしません。

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明の時代のことですが、

臨辺幸民、往往逃入虜地。蓋其飲食語言既已相通、而中国賦役之繁、文網之密、不及虜中簡便也。

「幸民」というのは、マジメにやってないのに、偶然なんとか生きていられるという点で幸運な民、という意味の言葉ですから、「いい加減な人民」という訳にしておきました。

面倒な熟語ですが、「春秋左氏伝」宣公十六年によれば、晋の国の政治がよくなったので、国内の盗賊は秦の領域に逃れた。これを評して、賢者・羊舌職(ようぜつ・しょく)が言った、

善人在上、則国無幸民。諺曰、民之多幸国之不幸也。是無善人之謂也。

というコトバに基づいています。試験に出るかも知れませんよ。

さて、

虜法雖有君臣上下、然労逸起居甘苦与共。

毎遇徙落移帳、則胡王与其妻妾子女皆親力作。故其人亦自合心勇往、敢死不顧。

干戈之暇、任其逐水草畜牧自便耳。真有上古結縄之意。

「周易・繋辞伝」にいう、

上古結縄而治。

これも試験に出る・・・かも知れません。

ちなみに、インカ帝国の「結縄」(キープ)が伝えられて、縄を結んで記録するだけで高度な帝国が治まることが立証され、はるか古代に「縄を結んだ」だけで治まった時代があってもおかしくないことが判明した・・・のですが、インカを見る限り、すでにかなり高度な帝国で、やはり税金や労働や法規行政が大変だったかも知れません。

インカはともかく、異民族の社会では、古代のような純朴な政治が行われているのだ。

ところが、

一入中国、里胥執策、而侵漁之矣。

所謂漢恩自浅胡自深者、此類是也。

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明・謝肇淛「五雑組」巻之四より。こんな古典文化もあるし、出て行きませんよーだ。しかし、人民はどうやら税金が安くてインボイスなど手続きの面倒でないのがいいようです。困ったやつらですね。

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