7月27日 これは誤っています。書き換えを要す

夫人不暁事(夫人、事を暁らず)(「四朝聞見録」)

今日の飲み会、魚美味かった。年上のおねえさまたちがお祝いをしてくれたのである。

淡水魚は、今日のカツオ、サバなどのどろどろの脂のったのには敵わないであろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・

南宋の初期に宰相として権勢を揮い、売国的な外交を続けたとして、現代に至るまで批判されている秦檜さまでございますが、ある時、皇后さまが秦檜の奥さまを宮中にお呼びになり、宴会を開いてくれたのでございます。席上、

進淮青魚。

ぴちぴちと新鮮な高級魚で、美味い。

皇后は秦檜夫人に言った、

曾食此否。

夫人は答えた、

食此已久。又魚視此更大且多。容臣妾翌日供進。

「あら、そう」

皇后さまはなんとなく不機嫌そうに、頷かれた。

夫人帰、亟以語檜。

「たいへんお好きそうでしたから、うちに淮南の有力者から寄進されてきて生け簀にいるのを、何匹か差し上げようと思いますの」

これを聴いて、

檜恚。

そして言った、

夫人不暁事。

これは名言・・・あ、いや、なんという不遜なコトバでありましょうか。うーん、チャイナの賢者たちがこんな間違ったこと言うはずないから、文字の間違いかなんかあるんじゃないですかね。

翌日、秦檜夫人は宮中に参上し、

易糟鯇魚大者数十枚以進。

「鯇魚」(かんぎょ)はヤマメの地方名の一つですが、また「草魚」ともいいます。雑草のように、どこでも捕れるつまらない魚、という意味です。つまり、新鮮ではない保存用の、つまらない魚の、しかし、大きいのを大量に献上したわけです。

皇后は笑っておっしゃった、

我便道是無許多青魚、夫人誤耳。

おほほほほ。

たいへんご機嫌うるわしかったそうである。

・・・・・・・・・・・・・・

宋・葉紹翁「四朝聞見録」乙集より。さすがは秦檜さま、みんなをシアワセにしてくれました。それに比べて女の方は・・・あ、いや、文字の間違いかなんかなのです。少なくとも今日のおねえさまたちは分別もあられ、秦檜など、ぼいいいん、とやっつけて、物の数ではないことでございましょう。

ホームへ
日録目次へ