5月7日 褒められることなんか滅多にないのに

有所肖可(肖るところ有れば可なり)(「袁中郎随筆」)

実はうまく褒めているんです。

〇〇さん(の現状)にそっくりだ。

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明の文人、石公・袁中郎が「尚徳主人」という人の肖像画を描き、さらにそれに「画賛」を書くことになった。「自画自賛」ですね。

豊姿秀美、頭額魁奇。怡然而笑、充然而腴。

太っている方がカッコいいとも思われていた時代です。

見之者曰、肖尽尚徳主人矣。

しかし、

余独曰、不然。余与尚徳主人処幾年矣。極知胸襟瀟灑、志業誠実、其与人也有礼、其持己也無失。

その彼が、

及今年来被風雅披拂、転無尽時。然則余終不能尽尚徳主人万一。

みなさんが、

而謂此足以尽之、不啻覿面而千里。

「天罰覿面」の「覿」(てき)は、会う、目でみる、の意味で、「覿面」は「面と向かって会う」「目の当たり」ということです。

或者曰、特有所肖、可也。

まあ一つぐらいは似ているでしょう。でもそんなに妥協してしまっていいのかな。

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明・袁宏道「袁中郎随筆」より「尚徳主人真賛」(尚徳主人の真に賛す)。褒められたのに文句を言って、まわりの人を困らせているちょっと変な人の感じが出て味わい深い文章ですが、これがそのまま「賛」になっていて、画は褒めているのかどうかわからないけど、少なくとも描かれている本人は褒めてあります。うまいね。

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