人生在塵蒙(人生塵蒙に在り)(「寒山集」)
とうとう梅雨入りしてしまいました。ムシムシしてキモチいいなあ。

この季節、アリーたちは一段と元気でやっておりますよ。
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唐の時代のことですが、
人生在塵蒙、恰似盆中虫。
人生まれて塵蒙に在り、恰も似る盆中の虫に。
人間は生まれてきて、ごみや砂塵に覆われている。縁の高い盆の中にいるムシのようなものだ。
終日行遶遶、不離其盆中。
終日行くこと遶遶(にょうにょう)たるも、その盆中を離れず。
一日中、ぐるぐると歩き回っているのだが、その盆の中から出ることはない。
二次元の世界にいるのです。
神仙不可得、煩悩計無窮。
神仙は得べからず、煩悩は計るに無窮なり。
神さまや仙人になることはできないし、欲望やそれゆえの悩みは計り知れないほど湧いてくるし。
歳月如流水、須臾作老翁。
歳月は流水の如く、須臾にして老翁と作(な)る。
年月は流れる水のようにとどまることなく、あっという間にじじいになりましたのじゃ。
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伝・唐・寒山「寒山集」より。ほんとにあっという間にございます。なお、ある人に教えてもらいましたが、「高次元」はあるが「異次元」はありません。「次元」の定義上そうなるはずなんだそうです。うーん。うーん。うーん。・・・確かにそうですね。
われわれも盆の中の虫のように、メビウスの環だかなんとかの壺の中にいるんですよ。でもわたしはもうすぐ出られるような気がします。みなさんはどうかな。出られるかな。出る気ない、というか出るということにさえ気づかないのかも。