禍在所愛(禍いは、愛するところに在り)(「韓非子」)
今日も謎の体重増。本当のこと言わずに溜めているのでどんどん太ってくるのかも。きついノルマでも溜めこむばかりか。

どんどん太って、わしもいよいよ絶滅するのかも。
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輿人成輿、則欲人之富貴。匠人成棺、則欲人之夭死。
輿人の輿(よ)を成すには、人の富貴を欲す。匠人の棺を成すには、人の夭死を欲す。
輿(こし)を造る人が輿を造る際には、誰もかれも身分高く、財産大きくなって欲しいと願うものじゃ。一方、細工師が棺桶を造る際には、誰もかれも早く死なないかと願うものじゃ。
非輿人仁而匠人賊也。人不貴則輿不售、人不死則棺不買。
輿人の仁にして匠人の賊なるにはあらざるなり。人の貴ならざれば輿售(う)れず、人死せざれば棺買わざればなり。
輿造りが人類愛に満ちているわけではなく、細工師が人間として悪なのでもない。身分の高いひとでなければこしを買ってくれないし、誰かが死なないと棺桶は売れないのである。
情非憎人也。利在人之死也。
情として人を憎むにあらざるなり。利の人の死に在るなり。
心の底から人を憎んでいるわけではない。人が死んだ方が得するからなのだ。
したがいまして、王さま。
后妃夫人太子之党成、而欲君之死也。君不死其勢不重。情非憎君也。利在君之死也。
后妃・夫人・太子の党成れば、君の死を欲するなり。君死せざればその勢重からず。情として君を憎むにあらざるなり。利の君の死に在るなり。
お后さまや王妃さま、太子さまを支援するグループが成立しますと、彼らは殿さまのお亡くなりになるのを待ち望んでおられます。主君が死なないと自分たちの権勢が強くならないからです。心の底から主君を憎んでいるわけではない。君主が死んだ方が得するからなのだ。
ということで、結論でございます。
人主不可以不加心於利己死者。故日月暈囲於外、其賊在内。備其所憎。
人主、以て、己の死を利とする者に心を加えざるべからず。故に日月外に暈囲すればその賊は内に在り。その憎むところに備う。
人の主たるもの、そういうわけで、自分が死ぬのを利益としている者たち(后や太子)に注意しておかなければなりません。つまり、「太陽や月のまわりにかさができる」(と、君主に悪いことがあるしるしだとされますが、)その原因は宮殿の中にいるのです。「やつらのせいか」と憎ったらしいやつらにお備えになることでしょうが―――
しかれども、
禍在所愛。
禍いは愛するところに在り。
ほんとのわざわいのタネは、あなたさまの大切な人たちのところにあるのでございますなあ。
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「韓非子」備内篇より。ずばっとホントのことで直球勝負だ。韓非先生、ホントのことは言うたらいかん、と言ってるのに、またホントのこと言ってしまうとは。始皇帝ににらまれますよ。