4月7日 春の嵐に心も荒ぶぜよ

巫即仆死(巫、即ち仆れ死せり)(「明語林」)

ヘリコ見つかりませんね。
平和な日々を楽しもうと、今日はシゴト終わって横濱まで行ったが中止。すでに買い込んでいたしうまい弁当を持って家に帰ってきました。ついてないぜ。いったい誰の呪いなのであろうか。許せない・・・と、心も荒れてまいります。

しようがないから、寝ていい夢でもみるでメー。むにゃむにゃ。

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明の時代のことですが、江西の鉛山府に

有羊角巫、能殺人。

羊角巫有り、よく人を殺す。

ヒツジの角を頭につけた巫女がいた。人を呪殺することができた。

「羊角巫」、文字通りに、ヒツジの角のアクセサリーを着けている巫者、と解しました。なお「巫」は古代だと女性ですが、この時代は男性の妖術者を指すことも多いですが、「巫女」と解して話を進めます。若いみこさんみたいな女の子だとドキドキワクワクしますが、この巫女はしわくちゃの醜いくそばばあだろうと想定しておきます。

ルッキズムだ。許せない。ずばっ。うわー。申訳ありませんでした、うちの若いのが。

・・・ということで、今日はおしまい。

と、表向き店じまいして、こちらの地下劇場でそっと続けます。

一嫗訟巫殺其子。

一嫗、巫のその子を殺せるを訟う。

(巫女とは別の普通の)ばばあが訴訟を起こしにきた。「あの巫女が、わしの息子を殺しましたのでございます!」と。

府令の張昺さまは

遣捕縛至、杖之。杖者手傷。

捕を遣りて縛りて至らしめ、これを杖す。杖者の手傷つく。

捕り手を遣わして巫女を縛り上げて連行させ、杖で殴らせて白状させようとした。ところが、殴っている係の者の手が傷ついてしまったのである。

一方、

巫自若。

巫、自若たり。

巫女の方は、そ知らぬ顔でいるのだ。

「ふむ。変だな。やはりきちんと取り調べせねばなるまい」

そこで、

命繋獄。

命じて獄に繋がしむ。

巫女を牢獄に放り込んでおくように命じた。

放り込んでおいて寝るでメー。むにゃむにゃ・・・・

及夜、烈風飛石、屋瓦若崩。

夜に及びて、烈風石を飛ばし、屋瓦崩るるがごとし。

夜になると、強い風が吹いて石つぶてが知事公舎に吹きつけ、屋根瓦も崩れ落ちるかという激しさである。

「やつだな」

公知巫所為、乃衣冠起坐。衆皆劾阻、公不許、厲声叱巫。

公、巫の為すところなるを知り、すなわち衣冠して起坐す。衆みな劾阻するも公許さず、厲声にて巫を叱っす。

張府令はばばあの巫女の仕業と理解し、すぐに正装に着替えて立ち上がった(。政庁に出かけて取り調べをしようというのだ)。部下たちは押しとどめようとしたが、府令は言うことを聞かず、牢屋に行くと、はげしい声で巫女を𠮟りつけた。

あまりに激しい正義の声に、巫女もさすがに恐れたのであろう、

巫忽堕一珠及書一帙。

巫たちまち一珠及び書一帙を堕とす。

巫女は、一瞬、珠を一つと一冊の本を(ふところから)落とした。

「それがおまえの力のもとか!」

府令は珠と本を取り上げ、

会僚属、焚書砕珠。

僚属に会して書を焚き珠を砕く。

部下を集めて、その本を焼かせ、珠を砕かせた。

「ぎゃあーーーーーー」

巫即仆死。

巫、即ち仆れ死せり。

巫女は、その場で倒れ、死んだ。

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清・呉粛公「明語林」巻四・方正篇より。この話、「明語林」の解釈では、権力を恐れない正義の行動を意味する「方正」な行為という理解のようです。なるほど。著者の意図を「そんたく」すれば、民に害をなすばばあ老害巫女をやっつけてくれました。ありがとう、張昺さま。・・・だが、よく考えてみると、このばばあ老害巫女とて今のわしとそんなに年も変わるまい。もうわれらは社会から追われていくしかないのか。

内閣府の調査で、中高年引きこもりは女性の方が多いことが判明したそうです。やっと実態が明らかになってきました。そして「無告の民の姿は統計の中にだけ現れる」という統計学の金言も証明された。

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