4月6日 ワルにしびれる、あこがれる

因成名儒(因りて名儒と成る)(「清代名人趣史」)

春は、なかなか勉強に身が入りません・・・と悩ましい人も多いかと思われます。

サクラソウの花言葉は「あ・こ・が・れ」

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浙江・帰安の厳可均は嘉慶年間の挙人、

博踪群籍精校讐、輯書甚富。

群籍を博踪して校讐に精しく、輯書甚だ富む。

たくさんの書籍を広く調べて、対校して古代の文章を復元することにかけてはプロフェッショナル、またとにかくすごくたくさんの書物を持っていた。

しかし、このひとは、

顧性跌蕩、少時家居殊落拓。

顧みて性跌蕩(てつとう)、少時家居するにことに落拓たり。

実は、性格が素直ではなくいい加減、実家にいた若いころは、ことに物事にこだわらず振る舞いは常識に欠けていた。

喜食肉、欠肉資甚多、屠某催索甚急。

食肉を喜ぶも肉資に欠くること甚だ多く、屠某、催索すること甚だ急なり。

肉が大好きなんですが、肉を買うおカネが無いことが多く、肉屋のAさんは、ツケを払うようかなり厳しく取り立てていた。

食べ物のことでおカネを取り立てるとは、なんという厳しい人でしょうか。

一日厳過屠肆、屠人又向索銭。厳怒遽奪屠刀斫之。

一日、厳、屠肆を過ぎるに、屠人また向かいて銭を索(もと)む。厳、怒りてにわかに屠刀を奪い、これを斫れり。

ある日、厳が肉屋の前を通り過ぎたところ、肉屋に見つかって、おカネを払うように求められた。厳は怒って、突然肉屋の包丁を奪い取ると、ぶちゅ、と相手を斬ってしまったんじゃ!

屠踣。厳懼擲刀、隻身走京師、匿姚文公宅中。

屠踣(たお)る。厳、懼れて刀を擲うち、隻身にして京師に走り、姚文公の宅中に匿(かく)る。

肉屋さんはばたんと倒れた。厳はびびって包丁を投げ捨てると、そのまま単身で都・北京に逃げ、文公・姚先生の家に逃げ込んで、ここに匿われた。

牧庵先生・姚燧も有名な学者である。

「刑吏も探しているし、肉屋仲間も復讐を謀っているようじゃぞ」

姚閉諸室、不使出、発蔵書読之。

姚はこれを室に閉ざし、出でしめずして、蔵書を発してこれに読ましむ。

姚先生は厳を部屋の中に閉じ込め、外に出さないようにして、家の書庫を開き、そこにある書物を読ませた。

厳は、一心不乱に書物を読んだ。

因成名儒。

因りて名儒と成る。

そのおかげで、厳は大学者となったのであった。

嘉慶五年(1800)に挙人、鉄橋先生と号す。かくして先生は、「説文解字」の注釈で名高い清朝考証学の泰斗となったのでございます。

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民国・佚名氏「清代名人趣史」より。そうか、その手があったか。これで受験に大勝利だ!
というだけではなく、

①肉屋さんをコロしてしまうとは、元気があってよろしい!それに比べて日本の若者は・・・

②さすがはチャイナは学問の国だ、学問のできる人は人を殺しても尊敬されるんだなあ。それに比べて日本は・・・

③チャイナではこうやって若い人を大切にするから文化に厚みがある。それに比べて日本は・・・

というように反〇的にも使えますね。

今日は宮古で自衛隊ヘリ墜落。陸将以下が行方不明。続報を待つしかないが・・・。

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