4月28日 夏が近づいてきて、ばててきた。

春帰覓処(春の帰りて覓(もと)むる処)(「白楽天詩集」)

春はどこにいってしまったのだろうか、とお嘆きのみなさまへ。

春はこういうところに入ってしまって出てこないのかと思っていた。

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わたしが江州に飛ばされていたときのことですが、河南の元集虚ら十七人と一緒に、わたしの棲み家だった遺愛草堂から東と西の二つの林を抜けて、化城に至り、頂のところでしばらく休んだ。そこから香炉峰に登り、大林寺に着いて宿泊した。

大林窮遠、人迹罕到、環寺多清流蒼石、短松痩竹。

寺中惟板屋、木器。其僧皆海東人。山高、地深、時節絶晩。

于時孟夏月、如正二月天。梨桃始華、人物風候、与平地聚落不同、初到恍然若別造一世界者。

因口号絶句

聞いてください。「大林寺に遊ぶ」―――

人間四月芳菲尽、山寺桃花始盛開。
長恨春帰無覓処、不知転入此中来。

時元和十二年四月九日。楽天序。

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近人・劉永済選「唐人絶句精華」より(「白楽天詩集」「游大林寺序」)。春はこんなところに来ていたんですね。東洋的論理的思考によって、もう近所には無いわけがわかりました。

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