4月26日 ほんとに衰えてきて何事も面倒くさい

不択衰朽(衰朽を択ばず)(「伝習録」)

衰朽してきているので、身につまされます。

石の上にも六年、やがて花咲く時もあるじゃ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

明の時代のことでございますが、

嘗見先生送二三耆宿出門、退坐中軒、若有憂色。

以前、先生が、二三人の老先生たちが門を出て帰るのを見送って、戻ってきて部屋の中に座り、心配そうにしていたのを目にしたことがある。

そこで、わたくし(銭徳洪)は、

趨進請問。

しゃしゃ、と小走りに前に進み出まして、ご質問をさせていただきたい、と申し上げた。

「なんだ?」
「先生は何をご心配されているのですか」
先生はおっしゃった、

頃与諸老論及此学、真員鑿方枘。

「と申しますと」

此道坦如道路、世儒往往自加荒塞、終身陥荊棘之場而不悔、吾不知其何説也。

そして大きくため息をおつきになったのである。

わたくし(銭徳洪)は、

退謂朋友曰、先生誨人、不択衰朽。仁人憫物之心也。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「伝習録」巻之下「銭徳洪録」より。銭徳洪の反応がおもしろいですね。
と、そこへみなさんが現れて、
「なんだかえらく自信過剰なひとだな、東洋的だね」
「こんな話お聴きするのは、時間のムダですわ」
「実はやりこめられて、弟子に対しては強きに出てるだけでは」
「ま、いずれにしろ大したひとではないね」
と言ってますので、
「あの、この先生は王陽明先生なんですけど」
と教えてあげたら、
「やっぱりそうか、するどい。東洋の深い思想だ」
「うなずけるお話、一つ戴けましたわ」
「きちんと見送って、しかし評価は厳しくする。すぐれた経営センスだな」
「それなら早く教えてくれよ、そういう気配りができない点において、ま、君は大した人物ではないね」
とやりこめられてしまいました。

ホームへ
日録目次