動与天合(動けば天と合す)(「七経類稿」)
「寝るな」といわれれば、居眠りしなくて済むようになるかも。

「ニワトリよりヒヨコが先でぴよ」「ムカデ食って早くでかく
なるでぴよ」
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明の初め頃のこと、
南京国子監将成、太祖乗高望之、曰、似蜈蚣形。
南京国子監まさに成らんとするに、太祖高きに乗りてこれを望み、「蜈蚣の形に似たり」と曰えり。
当時の都・南京に国子監(国立大学)の建物が完成しかけた時、太祖皇帝は高いところからこれをご覧になり、「ムカデの形によう似ておる」とおっしゃったのだ。
すると、
他日奏監中多蜈蚣、不可居。
他日、監中蜈蚣多く、居るべからざるなり、と奏す。
後日、「国子監の中にはムカデが無茶苦茶多くて、居住することができません」と報告されるほどとなった。
「それでは、こうするがよい」
遂命左首山喚為鶏鳴山。以鶏必能食蜈蚣也。已而果無。
遂に命じて左首山を喚びて鶏鳴山と為す。鶏の必ずよく蜈蚣を食うを以てするなり。すでにして果たして無し。
国子監の裏手にある「左首山」の名前を替えて、「鶏鳴山」という名前にした。ニワトリはムカデをエサにして食ってしまうことにあやかったのである。
しばらくすると、監内にムカデはいなくなった。
また、あるとき、
命劉三吾図所居山水来看図上。
劉三吾に命じて居るところの山水を図して、図上に来看せしむ。
劉三吾に命じて、彼の住まう地域の山川を画に描かせ、その画を献上しに来させた。
画をみながら、
太祖笑曰、山上何用許多突兀、倶以筆沫之無何。
太祖笑いて曰く、「山上何の用いるところぞ、許多の突兀ある」と。ともに筆沫を以てこれを無何にす。
太祖は笑っておっしゃった、「この山の上は、どうしてこんなにごつごつと飛び出しているところがあるのじゃ?」と。そして、劉とともに、筆に水を含ませてごしごしと消してしまった。
驚いたことに、
其山一夕為雷所震、突兀処悉平。
その山、一夕に雷の震うところと為り、突兀処悉く平らげり。
その夜、その山にカミナリが落ちて、ごつごつと飛び出していたところはすべて平らになってしまった。
また、
嘗使毛老人為後湖土地、至今無鼠益。
嘗て毛老人をして後湖の土地たらしむに、今に至るも鼠の益すこと無し。
以前、ネコの化身である毛老人を後湖の土地の神さまに任命したのであるが、それ以来、その山にはネズミが増えることはない。
つまり、
創業之聖君動与天合也。
創業の聖君は動けば天と合するなり。
天下を平定された創業の名君は、その行動が大自然と共鳴なさるものなのだ。
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明・郎瑛「七修類稿」より。本に書いてあるんだから本当のことだとしか考えられません。いつか現代にもこのような聖人が出現して、現実世界なんかぶっ壊してユートピアを創ってくださるに違いない・・・のですが、明日はまだ平日なので明日も会社に行かなければならない。