言不虚妄(言、虚妄せず)(「何氏言林」)
ほんとにもう桃の節句なんでしょうか。うそを言ってはいけません、なんでこんなに寒くて、雪まで降るのか・・・と思いましたが、新暦のカレンダーを見てました。今日はまだ二月四日ですよ。

ぼくたちも一か月早かったようです。まだ冬眠していようっと。
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南朝の梁の歴史書である「梁書」の「良吏伝」に何義方という人が出てきます。東海・邱県のひとという。
彼は、
言不虚妄。
言、虚妄ならず。
言葉に、ウソが無かった。
そんなことムリだ!と思うでしょう。しかし、彼は、
蓋其天性。
蓋し、其天性なり。
何故かと言うに、それが生まれつきだったのだ。
というのです。
彼自身も自分はウソを言わないことを自覚していて、いつも
戯語人曰、卿若得我一妄語、即謝卿一縑。
戯れに人に語りて曰く、卿若し我が一妄語せしを得れば、即ち卿に一縑を謝せん。
「縑」(けん)は、太い糸で織った絹。
ふざけて人に言っていた、
「みなさん、もしわたしが一言でもウソを言ったのに気づいたら、その場でみなさんに絹一巻をさしあげますよ」
「ほんとっすか」
衆共同伺終莫能得。
衆、共同して伺うも、ついに能く得る莫(な)し。
ひとびとは協力して観察していたが、とうとう一度もウソを言うのを指摘できなかった。
「わたしはウソは申しません」と言った政治家がいたということですが、「わたしはウソしか申しません」と言うクレタ人(ウソつきが多いらしい)と、どちらが真実の可能性が高いであろうか。
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明・何良俊「何氏語林」巻三より。ウソを言わない、なんて、そんなことできるんですか! と驚きましたが、生まれつきならしようがないですね。だいたい「良吏」という言葉自体が既に「妄語」かも。研修で身に着けられる技能ではなさそうです。
(こういう試みをするのが、もしかしたら「良吏」かも。会って見たら「酷吏」かも。)