3月28日 わしが怪しからんやつは怪しからん

反陋之人(反って陋なるの人)(「晏子春秋」)

契約更改時期が近づいてきたのですが、「わしは怪しからんのにわしを怪しからんと言わないやつは怪しからん。よってクビ」と言われたらどうすればいいのでしょうか。

わしは怪しからんのに、それをクビにしないとは怪しからん。

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春秋の時代、斉の賢者・晏嬰は、高糺(こうきゅう)という人に自分の家の仕切りを任せた。

やがて、

三年而辞焉。

三年にして辞す。

三年後、クビにした。

擯者諫曰、高糺之事夫子三年、曾無以爵位而逐之。敢請其罪。

擯者諫めて曰く、「高糺の夫子に事うるや三年、かつて爵位を以てする無くしてこれを逐う。敢えてその罪を請う」と。

「擯者」は賓客のお世話をする係。重要な役割です。

お世話役が注意して言った、

「高糺どのは三年間文句も言わずに殿にお仕えになられました。それに対して、表彰したりお礼したりもせずにクビにして追い出しなさるとは。高糺どのは一体どういう罪を犯したというのですか」

晏嬰は言った、

若夫方立之人、維聖人而已。如嬰者、反陋之人也。

夫(か)の方立の人のごときは、これ聖人のみ。嬰が如き者は、反って陋なるの人なり。

きちんと立っていられる正しい人は、ただ聖人だけであろう。この嬰のような者は、それに反したいやしい人間である。

若夫左嬰右嬰之人、不挙四維将不正。

もし夫の嬰を左し嬰を右するの人あらば、四維を挙げざればまさに不正ならんとす。

この嬰を左から助け右から援ける人がいたとしたら、その人は、四方から綱をつけて(嬰を)引っ張ってやらなければ、正しくない方へ行ってしまうであろう。

今此子、事吾三年、未嘗弼吾過也。吾是以辞之。

今、この子、吾に事うること三年、いまだ嘗て吾が過ちを弼(たす)けず。吾これを以てこれを辞するなり。

ところがこの人は、わしに三年も仕えていたというのに、これまで一度もわしの過ちを指摘してくれなかった。わしはそのことを理由にして、クビにすることにしたのである。

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「晏子春秋」巻四「外篇」より。普段から「わしは怪しからんからイジめてくだされや」と言っているのならいいのですが、都合のいい時だけ「わしは怪しからんのにイジめなかったから、クビだ」とはどういうことですか。
と反論しても、「非常に怪しからんからクビだ!」と言い出してどうしてもクビにしてくるであろう。困ったことにならなければいいのだが。

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