3月13日 こんなオトコ目線は現代ではダメかも

熟睡如初(熟睡すること初めの如し)(「庸閒斎筆記」)

このひとはすぐ熟睡できたので、睡眠時無呼吸症候群では無いようです。

おれはいつも、自分への怒りで怒っているのだ。どうしてこんなダメ人間なのか。怪しからん!

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清の時代のことです。死んだうちの祖父さんが言っていたましたが、

少時読論語、毎不服孔子及其老也、戒之在得二語。謂人老則一切皆淡、何須戒得。

「論語」の引用がありますのでそれから片づけます。これは、季氏篇の「君子有三戒」章です。

子曰、君子有三戒。少之時、血気未定、戒之在色。及其壮也、血気方剛、戒之在闘。及其老也、血気既衰、戒之在得。

確かに味わいのあるコトバで、人間観察の確かさに感心してしまいます。孔子がほんとにこんなにスローガンみたいに並べて語ったとは思えませんが、儒教教団で早いうちに整理された人生訓だったのでしょう。

その後わしは官界に進んだが、滁州の知事になったとき、もう六十を越えていた。

有獄時以万金餽者、已峻拒之去。

ところが、その晩のこと、

向者毎睡、就枕即酣臥、是夜忽輾転不寐。初亦不解。

昼間何があったか、自分で思い直してみて、あっと気づいた。

あれが惜しかったのだ。突き返してしまったことを、心のどこかで後悔していたのである。

已乃自批其頬、罵曰、陳某、何不長進若此。

チャイナでは、自分の尊属の実名は口にしてはいけない、というタブーがあります。おやじが「晋」(シン、すすむ)という名前なのに、その息子がなんで「進士」になれるんだ、といって失格になった人もいるほどでございます。自分のことを「陳某」と呼び掛けているところ、自分の名前を自分が知らないわけではなくて、子孫である筆者がじいさんの実名を書けないのでこう表記しています。なんだかおもしろいですが、そうしないと不孝者として猛攻撃を受けたりします。

さて、自分でピンタしたそのあとは、

遂熟睡如初。

旦語人曰、我乃今始服聖人之言也。

「はあ」

言われた人は何のことわけがわからなかったのでは?

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清・陳其元「庸閒斎筆記」巻一より。システムも老いると所有欲に縛られるようになってしまうのかも。
今日は久しぶりで古い知り合いと飲んで席上眠ってしまうという失態の上、なんとか起きて家に帰ってきて、頭痛いんです。何年、いや、何十年経っても同じ失態の繰り返しじゃ。

と罵ってみましたが、自分でピンタするのイヤなので止めておきます。今日は熟睡できるかな?

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