こんな寒い夜はどう過ごすのか。
平生之雅好可知(平生の雅好、知るべし)(「鶴林玉露」)

カメラとかフィギュアとか鉄道模型や古いメンコ類も雅びでいいなあ。普段の風雅な好みがどこにあるのか、によって人間性が量り知られます。寒い夜、風の音を聴きながら、諸兄は何を楽しまれておられますかな。

平生からこんなのが好きな人もいると思いますが、寝る前に食べるのは止めておくといいと思います。

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夜になってどんどん冷えてきました。

宋の徐淵子の詩に曰く、

俸余擬為買山銭、却買端州古硯磚。

俸の余、擬して買山銭と為すに、却って買う、端州の古硯磚。

俸給の余りを貯めて、そのうち隠棲先の山を買おうと思っていたが、

あに図らんや、取り崩して端州産の古い硯石を買ってしまった。

「それはよかったなあ」

劉改之がこれを聞いて、祝賀して云う、

移買山之銭買硯、平生之雅好可知。

買山の銭を移して硯を買う、平生の雅好知るべきなり。

山を買うはずのおカネを使ってすずりを買ってしまったとは。普段からの風雅な好みがどこにあるかよくわかった。

お祝いするほどのことでもないと思うのだが。

徐淵子は、その生き方に加えて、「詞」が清雅(さわやかで風雅)で有名であった。

余尤愛其夜泊廬山詞。

余、その「夜、廬山に泊するの詞」を尤も愛す。

わしは彼の「今夜は廬山の麓に船泊まりしている」のうたが、一番好きだなあ。

一篇を暗唱して久しい。

風緊浪淘生、蛟吼鼉鳴。家人睡着怕人驚。只有一翁捫虱坐、依約三更。

風緊(しま)り浪は淘ぎ生じ、蛟は吼え鼉は鳴く。家人睡り着して人の驚かすを怕れん。ただ一翁有りて虱を捫(もん)して坐し、依約三更なり。

「依約」は「ぼんやりとかすかに」というオノマトペ。

風が強くなり(水が)揺らされて波が起こり、舟の外では水龍が吼え、ワニが鳴いている(ようだ)。家人たちは眠りこけて、誰にも叩き起こされないことを願っているだろう。そんな夜中、ただ一人、このじじいだけが座って、シラミをひねりつぶしている。おそらく三更(午前零時)ころであろうか。

ワニが鳴くかどうか、知りません。水龍は、もしいれば、吼えるでしょう。

雪又打残灯、欲暗還明。有誰知我此時情。独対梅花傾一盞、還又詩成。

雪はまた残灯を打ち、暗ならんとしてまた明なり。誰か我が此時の情を知る有らん。独り梅花に対して一盞を傾け、またまた詩成れり。

雪まじりの風がまた消えかかった灯火を叩き、暗くなり、また明るくなる。このおれのこの時の気持ちを知ってくれるやつはいるだろうか。ただ一人、(寒さに耐えて咲いている)梅花を見ながら、盃を傾けているのだ。またおれに中に詩が生まれる・・・。

「しらみをひねりつぶしている」と「さかずきを傾ける」が対になっているのが佳いですね。まことに今宵はこのような夜である。

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宋・羅大経「鶴林玉露」甲編巻四より。でもわたしは詩は作りませんけどね。寒くて頭がじわじわして指先がしびれてきました。大丈夫か。こんなに寒いとまた電気を使わざるを得ないであろうが、高い。雅好は止めて風呂入って寝ることにします。だんだん治安も悪くなってき・・・ているような気がするだけですから大丈夫だねこの国。

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