2月8日 寒いがもう春だから暖房はガマン

恐不免耳(免れざるを恐るるのみ)(「世説新語」)

なんとなく暖かくなってきた感じがします。なんとなく、で、はっきりしないのですが、そういう曖昧さ(アンビギュイティ?でいいんでしたっけ??)が豊かな内包を含んで、いいではありませんか。

雪女先生、最強! と鼻高々の冬軍団だが、間もなく落ちぶれることを免れないであろうことが心配だ。

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東晋の名宰相・謝安がまだ会稽・東山に隠棲して布衣(無職)だったころのこと、

兄弟已有富貴者、集翕家門傾動人物。

謝家はもともと東晋屈指の名門貴族ですからね。

劉夫人戯謂安、曰、大丈夫不当如此乎。

すると、

謝乃捉鼻、曰、但恐不免耳。

「何するのよ」

「黙ってろ」

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宋・劉義慶「世説新語」排調第二十五より。最後のコトバ、みなさんはどちらの心配に解しますか。

むかしから両様に解釈できる、とされていてどちらが正解かわかりません。

「そんなのもやもやして困る」

「おほほ、欧米文化みたいに一つに決められないのね、後れている」

「やっぱり新自由主義の何たるかを理解してない昔の東洋人では、これが限界か」

などの声も聞こえます。普通の器量のひとならA)でしょう、謝安の友人兼好敵手であった桓温ならB)でしょう。しかし、謝安はほんとにどちらかわからない。故事成語としてはどちらの意味にも使えますので、覚えておくと一粒で二回使えます。

なお、貴族の女のテングの鼻を折ってやったのは手柄だ。

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