2月26日 ちゃんと予告通りに昨日の続きです

本朝一物(本朝の一物(いちもつ)なり)(「続本朝往生伝」)

予告通りにしないと「何故予告通りではないのか」など鋭い質問を受ける可能性があるので、もっと短い、いい加減なのにしようかと思ったんですが、なんとかがんばりました。

悪いやつらは他にもたくさんいるぞ。

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天狗ネコの自分語りが続きます。

延長祈祷が行われ、

第二日暁、以鉄網入我、置於炉壇火中。焦灼為煨燼。

祈祷がすべて終わり、おれの灰を含めて、護摩壇は家の者たちに片づけられた。ありがたいことに、彼らは、しろうとだったんにゃ。

及捨壇灰、幸置厠辺。便就食気蘇生。

しかし、

居此処六年。

なぜかというに、術を仕掛けたやつらは「くろうと」だった。

若欲出門、則護法独猶拘留。

六年間かけて、ようやく屋敷内の下水の流れ先を突き止めて、その出口からおれは外に出ることができた。さすがの護法童子も、一人だけではここまで監視することはできなかったのにゃんぞ。

於是知此人為本朝一物。必欲到嬈乱、仍至花山。

「一物」というのはこういう意味です。
さて、花山に行ってみたところが、

他所難居。住厠辺三年、僧正毎来、護法五六人必守護之。終不得其隙。

そこで、おれは考えたんにゃ。

最期臨終可成其妨。

でも、甘かった。

尋其命期、雖向彼山、護法衛護、聖衆来迎。

おれにゃんかが近づける状態ではにゃかったんにゃよ。

敢不能入於二三里之内、唯聞空中管弦、望山上雲気而止。

おれは敗北感よりも、なんとありがたいお方と結縁できたことかと、合掌してその往生を心の底から喜んだのだったにゃ。

以上。

なんと、執拗に復讐を狙ったこの天狗ネコの独白のせいで、僧正遍照が極楽往生したことが証明されたのです。

本伝在国史、今恐伝異聞而已。

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本朝・大江匡房「続本朝往生伝」より。おもしろかったですね。しかし「往生伝」がすべてこんなにオモシロいわけではありません。

ということで、この伝だけの特別は構成なんだそうです。

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