12月28日 明日は休みなので大サービス

終不能解(ついに解する能わず)(「春冰室野乗」)

みなさま、今宵は寒いので、こたつにでも当たっておられることでしょう。どうせぬくぬくしておられるなら、身も心もさらに冷える「清代野史」のおもしろさを味わいましょう。

こたつに当たってぬくぬくしているやつらには、呪文「雪ダルマ寒波」をお見舞いするダルマー!

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乾隆帝が退位され、嘉慶帝が即位されました(嘉慶元年(1796))。

しかし、ご承知のとおり、実権は上皇の乾隆帝が握っておられたのでございます。

一日早朝已罷、単伝和坤入見。

和坤は乾隆帝晩年の寵臣です。

上皇の乾隆帝が南面(本来の皇帝の座)し、嘉慶帝は西面(皇太子の座)しておりますところへ入室してきて、

坤跪良久。

この間、

上皇閉目若熟寐然、口中喃喃有所語。

「喃喃」はネコの鳴き声の描写(「なうなう」)にも使われます。そういうよく聞き取れない言葉です。

上極力諦聴、終不能解一字。

久之、忽啓目曰、其人何姓名。

「はあ?」

と驚く皇帝に構わず、

坤、応声対曰、高天徳苟文明。

上皇復閉目復誦不輟、移時始麾之出、不更問訊一語。上大駭愕。

数日後、皇帝は、お一人でいるとき、

密召坤問。

汝前日召対、上皇作何語。汝所対六字、又作何解。

「ああ、そのことでございまするか」

和坤はこともなげに答えた、

上皇所誦者、西域秘密呪也。誦此呪則所悪之人、雖在数千里外、亦当無疾而死、或有奇禍。

「はあ?」

奴才聞上皇持此呪、知所欲呪者、必為教匪奸酋。故竟以此二人名対也。

「奴才」は臣下の自称です。(みなさんも上司に対する時に使ってみてください。喜んでもらえると思いますよ。)

「は、はあ」

上聞之、益駭。

何より驚いたのは、

坤亦嫻此術。

(あそこで、こいつがもしわたしの名前・愛新覚羅顒琰(あいしんかくら・ぎょうえん)と答えていたら、どうなったのだ?)

故上皇賓天後、数日即誅坤。

という。

和坤の専権や莫大な横領が原因では無かったというのである。

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清・李岳瑞「春冰室野乗」より。あったか無かったか知らんけど、まるで目の前で見たように教えてくれます。乾隆帝と寵臣・和坤との心の触れ合い、感動しますね。そして、嘉慶帝が和坤を誅殺したのは、術がコワかっただけなのです。憎しみあってはいなかったのです。ああよかったなあ。仲良きことは美しきかな!

・・・とは、普通の人は思わないでしょうね。

こたつはもちろんエアコンもまともに動かず、ほぼ無暖房。使い捨てカイロを握り締めて更新をしております。とにかく早く風呂入ってすぐ蒲団に入らなければなりません。暖房の効いた部屋にいる人たちへの深い憎しみがわしに、かの呪文を唱えさせるのじゃ、なむなむ・・・

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