12月25日 賢者はコトバを贈るという

可臻其極(その極に臻(いた)るべし)(「顔氏家訓」)

なんの極に至るのでしょうか。

宇宙の涯で待ってるぜ!

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クリスマスのみなさんに、コトバのプレゼント。

「礼記」曲礼上篇に曰く、

欲不可縦、志不可満。

いい言葉ですね。肝に銘じましょう。

以下は、息子たちへのプレゼント「家訓」じゃ。

(第一章)

宇宙可臻其極、情性不知其窮、唯在少欲知足、為立涯限爾。

―――うるせえ。

なんじゃと。

先祖靖侯戒子姪。

―――知らん。

こう言ったのではなかったか。

汝家書生門戸、世無富貴。

自今仕官不可過二千石。婚姻勿貪勢家。

二千石というのは、漢代の地方の太守の給料です。仕官二千石、というのは、地方官のトップぐらいにまで至る家柄、ということです。貴族の中では真ん中ぐらいでしょうか。

―――九品中正法以降の格差社会で、おれたちがそんなところまで出世できるはずないだろう。

―――結婚そのものができない時代に上昇婚をやめろ、とかどういう感覚なんかね。

吾終身服膺、以為名言也。

―――もう世の中が変わってるんですよ、おやじさん。

むむむ・・・。

(第二章)

天地鬼神之道、皆悪満盈。謙虚沖損、可以免害。

―――コスパがいいですよね、その方が。

人生衣趣以覆寒露、食趣以塞飢乏耳。形骸之内、尚不得奢靡、己身之外、而欲窮驕泰邪。

―――おやじ、意外に分かってるじゃん。でふれの世の中だからね。

そ、そうか。

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隋・顔之推「顔氏家訓」止足篇より。六朝貴族も最後はこんな感じです。現代もこんな感じで世代間の了解がついた状態ですかね。

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