12月17日 今週は寒いらしいですよ

肉身土地(肉身の土地)(「東軒述異記」)

日本海側は雪になってきているみたいです。雪の降る日は囲炉裏の周りで、おじいやおばあの与太話でも聞きなされや・・・と思ったが、与太話と思いきや意外と真理を含んでいるような気もしてまいりました。

昔話はおかしいでごろん。

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清の時代のことです。

厳州山中有土地廟、夜有人臥香案下。

厳州はかなりの辺境です。この人はおそらく行商人で、行き暮れてここに宿を借りていたものと思われます。

夜半、見虎入廟土地神前。

トラは、人間のコトバで、土地神の土像に語り掛けた。

明日応啖何人。

すると、土像が言った、

明日有人従某方来、身白衣、拍扇高歌者、是爾口中之物也。

「おう」

トラはまたのしのしと出て行った・・・。

夢だったのでしょう。

そんな変な格好をして、こんな辺境の地に来るやつがいるはずがない。

―――と思っていたら、明朝、そんなやつが廟の前を通りかかった。

白い服を着て、扇子をばたばたいわせながら、声を上げて歌っているのだ。

「おまえさんは何者かね」

「あっしは旅芸人一座の先駆けで、この先の村に今年の夏祭りの相談に行くのでさあ」

「悪いことは言わん・・・」

戒令他往。

「なにゆえ?」

「昨夜こんなことがあったのだ・・・」

と話していたその時である。

虎果突至。

「うひゃー!」

白い服の男は腰を抜かして逃げることも出来なかったが、商人の方はトラの狙いが白い服の男であると信じていたので、恐れることがなかった。

奮梃搏撃、遂斃虎。

そして、

乗怒気趨至廟中、罵土地神。

爾受地方香火、不保佑民生、乃教虎食人。此位還該是我坐。

遂推仆土地而踞其位。

そして、

嗒然而逝。

「嗒」(とう)は我を忘れて茫然とする様子。「うっとり」。

ケンタッキーフライドチキンの人の人形を川に放り込むような達成感・・・だったのかも知れません。
さて、いきさつは旅芸人が語ったので、

土人遂即其身装塑供養、号肉身土地。

これが広西・厳州の「人肉鎮守さま」の由来である。

至今此地無虎患。

ということじゃ。どっとなんとか。

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清・東軒主人「述異記」下巻より。「ホントに?」などと野暮を言ってはいけません。現に「肉身土地」(人肉鎮守さま)という神社があるのに何故あるのか説明できなければ困ってしまうではありませんか。

それにしても、「地方の香火を受けて、民生を保佑せず、すなわち虎(のようなグローバリズムや経済界)に食人を教」えていることがバレたらぶち壊されてしまう、なんてことになったらいけませんから、少しマジメにやった方がいいかも。余計なお世話でございますが。

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