12月10日 暖冬だと生き抜くのでは

執氷咎夏虫(氷を執りて夏虫を咎む)(「書譜」)

虫を責めてもしようがない・・・と思ったら、知り合いだったりするカモ。

地中は暖かいので案外生き残るでアリー!

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晋の貴族で今に至るも書聖と評される王羲之さまが、会計の蕺山(しゅうざん)に隠棲していた時、

見一老姥持六角竹扇売之。

王羲之はばあさんをからかいながら、

書其扇各為五字。

「なんといういたずらをするのじゃ」

姥初有慍色。

ところがその後、

人競買之。

他日姥又持扇来。羲之笑而不答。

また、ある時、王羲之は、

詣門生家。

いろいろごちそうをしてもらった。

何か礼をしなければならないと思って、ふと見ると、

棐几滑浄。因書之、真草相半。

弟子は大変喜んだ。

ところが、数日後、その弟子が出かけている間に、そいつの親父が机を見て

為其父誤刮之。門生驚懊者累日。

鬱状態、ツラいですね。がんばれ。君ならやれる。期待してるぞ。

いずれも「晋書」巻八十「王羲之伝」より。

これらは

知与不知也。夫士、屈於不知己、而申於知己。彼不知也、曷足怪乎。

「老子」(第41章)に言うではありませんか、

下士聞道大笑之。不笑之則不足以為道也。

と。

知らないやつにわからせようとしてもしようがない。

豈可執氷而咎夏虫哉。

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唐・孫過庭「書譜」第六篇より。書の芸術についていろいろ述べてきて、王羲之が最高や!と宣言したりして、最後が第六篇で、そのまた最後にこの文章があります。孫過庭の一番言いたいことがこれなんでしょう。わからない奴にわからせることはできません。・・・いかん! 君、そんなホントのこと言ったら怒られるぞ! と注意したくなってきますよね。ね?

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