1月29日 うまく使えるといいのですが

不足道耳(道(い)うに足らざるのみ)(「昨夢録」)

珍しい能力がある人はこの世に少しはいると思うのだが、その人がその能力を生かして使われることはほとんどあり得ないであろう。確率の問題ですよ。

ウシはやっぱり乳牛が一番花形でモー。竹ウシ?

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中原に宋帝国があったころ、甘粛地方にあった西夏王国には、

有竹牛。

重数百斤、角甚長而黄黒相間。用以製弓極佳、尤健且勁。

宋代の一斤は約600グラムです。数百✕600グラムで2~300キログラム、にしておきます。

其近弝黒者、謂之後醮。近稍近弝倶黒而弓面黄者、謂之玉腰。

「弝」(ハ)は「ゆはづ」。弓の左手で持つところ。真ん中へんになります。「稍」は弓の両端。弦をかけるところです。「後醮」は「あとのお祀り」という意味になりますが、何かの音訳だと思いますので、特に訳しません。

んだそうです。

夏人常雑犀角以市焉。人莫有知

サイの角も高級品ですが、竹ウシの角はもっと貴重品、と考えているらしいのです。

・・・というのは、今だからわかっていること。以前、

鎮江裨将王詔、遇有鬻犀帯者、無他文、但峯巒高低、繞人腰囲耳、索価甚高。

「これは何かいわれがあるのではないか。内地のおえら方にお贈りしたら喜ばれるかも知れんぞ・・・」

しかし、まわりの漢民族たちは、

皆不能弁。

部隊の外にも問い合わせてみた。すると、

惟辛大尉知此竹牛也。

人を遣わして前線にいる辛大尉に価値のあるものかどうか訊いてみると、

「それはサイの角よりも貴重なものです」

と回答があったので、王将軍は大枚をはたいてそのベルトを買ったのだった。

やがて、前線から戻ってきた大尉は、実物を見て、

「ベルトにはめこんであるんですか。竹ウシの角は、

為弓則貴、為他則不足道耳。

と言った。

・・・ということを聴き、竹ウシについて勉強したのである。

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宋・康与之「昨夢録」より。言うに足らないことはたくさんありますから失敗するのはしようがない。だが、「今だけ、カネだけ、自分だけ」のグローバリズムにだけは騙されたらいかん、といつも教えてるのになあ。

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