被髪御婦人(被髪して婦人を御す)(「韓非子」)
婦人を御すのはもう・・・。だが、被髪して市場に繰り出したいぜ。

ネットで調べるとM治屋の水あめが1キロ800円ぐらいですから、3憶あれば400トン買える!おれの計算にミスが無ければ。
・・・・・・・・・・・・・・・
戦国の時代のことでございます。
子之相燕、貴而主断。
子之(しし)燕に相たり、貴にして断に主たり。
子之が燕国の宰相となっていた。地位も高く、王に断らずに判断してもいいことになっていた。
当時の燕王は噲(在位前320~312)という名の人です。燕王のところへ、斉の相・蘇代が使いにやってまいりました。
王問之曰、斉王亦何如主也。
王これに問いて曰く、斉王また何如の主なるぞ。
王は蘇代に面会したとき、訊いた。「斉王どのはどんな君主でいらせられるのかな」
蘇代はためいきをついて言った、
「はあ・・・、そうですなあ、
必不覇矣。
必ず覇たらざるなり。
あれでは、戦国の世を統一する覇者には、絶対になれませんなあ」
王は訊いた、
何也。
何ぞや。
「なぜかな?」
蘇代は答えた、
昔桓公之覇也、内事属鮑叔、外事属管仲。桓公被髪而御婦人、日游於市。
昔、桓公の覇たるや、内事は鮑叔に属し、外事は管仲に属す。桓公は被髪して婦人を御し、日に市に遊べり。
「昔、我が斉国の桓公(在位前685~前643)さまは覇者になられました。その間、内政のことは鮑叔さまに、外交のことは管仲さまにお任せになっておられました。桓公さまは、髪をざんばら髪になさって、女性とお楽しみになられ、毎日、繁華街に出かけて遊び回っておられました。
ところが、
今斉王不信其大臣。
今、斉王はその大臣を信ぜず。
今の斉王さま(宣王(在位前319~前301)は、ご自分の大臣を信用なさいません。
わたしも宰相の地位を追われ、貴国への使者として参った次第でございます」
「なるほど」
於是、燕王因益大信子之。
ここにおいて、燕王、因りて益ます大いに子之を信ず。
これ以降、燕王は、さらにますます、子之を信用して全てを任せていったのである。
(しめしめ、さらに燕の弱体化が図れたぞ)
とほくそ笑む蘇代のもとに黄金が届けられました。
子之聞之使人遣蘇代金百鎰、而聴其所使之。
子之、これを聞きて人をして蘇代に金百鎰を遣らしめ、そのこれを使うところを聴(ゆる)せり。
人が間に入っていたのですぐにはわからなかったが、宰相の子之が、燕王への蘇代の説明の内容を聞いて、名前を秘して黄金百鎰(いつ)を贈ってきたのであった。そして、間に入った人には、「どうぞご自由にお使い(いただき、燕の国内でさらにご活躍)ください」と言わせたのであった。
数年後には、子之は噲の譲りを受けて「燕王」になる。
・・・・・・・・・・・・・・・
「韓非子」外儲説右下より。丸投げは危険だというのですか。怪しからん。部下いないから丸投げのしようがないので、丸棄てすることにしておきます。ちなみに、一鎰は20両、または24両。戦国時代の一両は16グラムだそうですから、一鎰は300~400グラムになります。百鎰は30~40キログラムで、金1オンスは30グラム弱だから、えーと・・・えーと・・・12百オンスぐらいと考えればいいんですかね。本日現在の市場価格を見ると金1オンスで30万円超なので、百鎰あったら約3億6千万円! 遊んで暮らせる! 水あめ400トンあったら一日100グラム食べても1000年食べられるぞ。