呑紙実腹(紙を呑みて腹を実にす)(「顔氏家訓」)
飛行機も炎上するし、新年早々たいへんなことに。

散歩に連れていかないと自分でどこかに行くこともあるでワン。
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南朝の梁の時代、義陽の朱詹は代々江陵に住んでいたひとであるが、揚州の街に出てきた。
好学、家貧無資、累日不爨、乃時呑紙以実腹。
学を好めども家貧にして資無く、累日爨せず、時に紙を呑みて以て腹を実にす。
学問が好きだったが、家が貧乏で資力が無く、何日も飯を炊くことができなくて、そんな時は紙を飲み込んで腹の足しにしていた。
わたくしごとですが、今日は腹いっぱい以上に餅やらごはんやらいただきました。ありがとうございます。
こたつもある部屋に寝ております。ありがとうございます。サッシも締まるのです。
しかし、朱詹は、
寒無氈被、抱犬而臥。
寒にして氈被無く、犬を抱きて臥す。
寒くなってもかぶる毛布が無いので、イヌを飼って、それを抱っこして寝てこたつ替わりにしていた。
だが、
犬亦飢虚、起行盗食。
犬もまた飢虚し、起ちて盗食に行く。
イヌもまた(エサが無いので)腹を減らし、起き上がってどこかに食べ物を盗みに行くことが多かった。
寒さに凍える朱詹は、
呼之不至、哀声動隣、猶不廃業。
これを呼ぶも至らず、哀声隣を動かすも、なお業を廃せざりき。
イヌを呼ぶのだがイヌはなかなか帰って来ない。その哀れな彼の声が、隣近所の人たちを感動させたというのだが、それほど貧しくても、学問を止めることはなかった。
卒成学士、官至鎮南録事参軍、為孝元所礼。
ついに学士と成り、官して鎮南録事参軍に至り、孝元の礼するところと為る。
ついには大学士となり、仕官して南方軍の事務参謀となって、梁の元帝から礼節を持って遇されるまでになったのである。
此乃不可為之事、亦是勤学之一人。
これすなわち為すべからざるの事、またこれ勤学の一人なり。
これはなかなかやれることではない。彼もまた学問に勤しんだ人であると言えよう。
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隋・顔之推「顔氏家訓」勉学第八より。どんどん勤しんで、立派な人になってくださいね。
しかし、世の中は変わっております。「彼も苦労したようだがわしも苦労して努力した。わしの場合は・・・」と成功体験を語っても、今の人たちに何のためになりましょうか。わたしどものできる最大のことは、勉学した人たちの邪魔をしないことではないだろうか。したがって今年はさらに息を潜めていますので、みなさん、わたしにはなかなか気づかないと思いますよ。