1月12日 何かの役に立つかも知れません

霊異如此(霊異かくの如し)(「少室山房筆叢」)

ザリガニ食ってきました。唐辛子が効いて辛かったが、だんだん辛さに馴れた。時間経ってからわかってくることもあります。・・・と思うんですが、やはり無いですかね。

蛇の足は何かの役に立つんだっけ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「史記」三皇本紀に曰く、はるかな古代のこと、

諸侯有共工氏、任智刑、以強覇、而不王。以水乗木、乃与祝融戦。

だが、

不勝而怒、乃頭触不周山崩、天柱折、地維缺。

大災害です。

この様子をご覧になられて、

女媧乃錬五色石以補天、断鼇足以立四極、聚蘆灰以止滔水、以済冀州。

於是地平天成、不改旧物。

「地平天成」は「平成」の元号の典拠として挙げられていましたですね。それによって「旧物を改めず」、災いを克服して「すべては以前のとおりになった」という含意があったの、気づいてましたか。

それはさておき、これがチャイナ神話として有名な「女媧補天」(女媧、天を補う)説話です。勉強になりましたね。

だが、みなさんは、

「ただの伝説でしょ? 現代において何か意味あるんですか」

「キャリアアップにも役立たない夢みたいな話をして、わたしの時間がムダになった」

「荒唐無稽を全否定する気はないが、おカネになるような話なら、というのが前提だね」

などの反応があり、みんな帰ろうとしている。

だが、わしは「まあお待ちなされ」と言って、話を続けたのだ。

―――時代は降って、唐の時代のことじゃ。

天宝十一載六月、閿郷県女媧墓、因大雨晦冥失所在。

ところが、

至乾元二年六月、瀕河人聞有風雷。暁見其墓湧出。上有巨石双柳。

これは正史(「旧唐書」)に記述されていることなのである。

万年後、霊異如此。補天之説、亦或不誣。

ということで、本当のことかも知れないのです。なんと役に立つ話だったではありませんか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

明・胡応麟「少室山房筆叢」巻六より。「五経」から歴史書、仏教経典、個人の詩集まで、古代以来の膨大な書物を読んで、気づいたいろんなことをメモしたものを集めた本なんですが、爛熟した萬暦の時代風潮なのであろうか、あまりにも雑多な内容に、「この本読んで何の役に立つのか」と最初は思ったんです。だが、拾い読みしていくと上記の話のように、なかなかいいことも書いてあるではないですか。これは役に立つ本ですぞ。

・・・だが、みなさんは帰って行った。みなさんの「役に立つ」とは何なのじゃ?ほんとに「今だけ、カネだけ、自分だけ」なのか?

ホームへ
日録目次へ